ヤマモモの育て方
ヤマモモ科 学名:Myrica rubra 用途 露地植え 日本(関東より西)、中国南部~インドに自生する常緑性の樹木です。雄木と雌木があり、雌木は梅雨時期にルビー色の美しい果実を付けます。この果実は平安時代から食用として親しまれていました。 |
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開花期 |
収穫期 |
剪定 |
植え付け |
肥料 |
春・夏・秋の年3回、枝が伸びます(それぞれ、春枝、夏枝、秋枝)。伸びた枝の中でも主に春枝の先端に近い位置にある葉の付け根に花芽をつくり、それが翌春に開花して、実を結びます。なぜ春枝かというと枝に花芽が作られる『花芽形成期』は主に夏頃ですが(ふくらんで開花するのは翌春)、そのときまでに充分育っているのは春枝だからです。夏枝は花芽形成期はまだ枝の生長が不十分で、秋枝は花芽形成期後に出てくる枝なので、花芽は作られにくいのです。家庭果樹に適した品種は「ヤマモモとは」のページに載せておりますので、参考にしてください。→『ヤマモモとは』
剪定・整枝(枝を切る作業)ポイント
こみあった枝や樹形から飛び出るほど長く伸びた枝(徒長枝)を切る『間引き剪定』が基本です。適期は3月~4月。剪定の目的は樹形の姿を整えること、隔年着果を防ぐこと(欄外※隔年着果を参照)です。全体のバランスを考えて、樹形を乱している枝を切り詰めていきます。切る位置は枝分かれしている付け根(又)の位置で切ります。
ここで気をつけたいのは、あくまで『余計な枝(=混みあった枝・伸び過ぎた枝)』だけ間引くことです。余計な枝がなければ毎年剪定する必要ありません(そういう点ではメンテナンスの楽な果樹といえます)。花芽は昨年伸びた枝の先端に付き、先端をそろえるように刈り込んでしまうとそれをすべて切り落とすことになるからです。
季節・日常の手入れ ポイント
雄木と雌木
雄木と雌木があり、実を楽しむには1株ずつ植えます。ヤマモモは風によって花粉が運ばれる風媒花なので、さほど近づけて植える必要はありません。大きく育った雌木に雄木の枝を接ぎ木する方法もありますが、一般的にヤマモモの接ぎ木は難しいと言われます。
摘果(てっか)
花後、5月頃に未熟な果実が自然にぽろぽろと落ちます。これは自然落果といい、余計な果実を落とす生理現象です。自然落果後、葉5枚あたり1果を目安に余計な果実を摘み取ります。この作業を摘果といいます(理由は欄外※隔年着果を参照にしてください)。
収穫・利用
完熟したものから収穫していきます。未熟な果実は酸味が強いので気をつけましょう。生食の他、ジャム、果実酒にも適します。果実酒は熟した果実同様、ルビー色になりきれいです。
日当たり/置き場所
日当たりの良い、強い風の当たらない場所が適しています。もともと暖かい地域の樹木なので寒冷地での植栽は不向きです。植栽適地は関東より西の地域です。木が大きくなると耐寒性も強くなりますが、幼苗の内は霜よけ程度の簡単な防寒を行います。
水やり・肥料
地植えの場合、根付いてしまえば特に水を与える必要はありません。鉢植えの場合、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。
マメ科の植物のように根に根粒菌が共生して窒素分を供給しているので、肥料はあまり必要ありません。冬の間に油かすと骨粉を混ぜたものを与えますが、他の果樹に与える標準量の半分くらいでかまいません。
用土
腐葉土などの有機質の入った肥沃で、やや粘質の土が適しています。
植え付け・植え替え
植え付けの適期は3月~4月です。
ふやし方
タネまき、接ぎ木、とり木でふやすことができます。
タネまきは熟した果実を採取して果肉を取り除いて中のタネを採りだし乾かさないように湿らせ砂の中などに埋めておき、3月に取り出してまきます。果実が付くまで15~20年かかる上、花が咲くまで雄木と雌木がわかりません。一般的に、タネから育てた苗はある程度の太さになったものを接ぎ木の台として用います。
接ぎ木は4月上旬が適期です。タネからと違い、接ぎ木したものは4-5年で実を付けるようになります。ただ、ヤマモモはタンニンを多く含んでいるせいで、台木とさし穂が合着しにくく、接ぎ木は難しいとされています。とり木の適期は4月-6月です。さし木は根が出にくく困難とされています。
かかりやすい病害虫
害虫:ミノムシ コガネムシ
さほど病害虫は出ませんが、ミノムシやコガネムシが葉を食害することがあります。見つけ次第捕ってしまえばさほど大きな被害になることはありません。
まとめ
摘果や枝の間引きで果実の数を調整する
肥料は少しでよい
※隔年着果
隔年着果とは、実の良くなる年(豊作)とならない年(不作)が交互に来る現象を言います。ヤマモモの場合、不作の年は豊作の年の1割程度しか実らないこともあります。なぜこのようなことが起きるかというと、実を付けすぎると、木がスタミナを使い切って体力が切れ、翌年までその影響を引きずるからです。ですから1本の木に咲く花の数(果実の数)をおさえて、必要以上に体力を使わせないためにも余計な枝や着きすぎた果実は取り除いたほうがよいと言うことです。
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