アマドコロの育て方

しなる茎、行儀よく並ぶ葉

ユリ科 「あ」からはじまる植物

アマドコロ
科名
ユリ(キジカクシ)科
学名
Polygonatum odoratum var.pluriflorum
別名
イズイ
原産地
日本 朝鮮半島 中国
大きさ
30cm~80cm
主な開花期
4月~6月
耐寒性
つよい
難易度
★☆☆☆☆(やさしい)

こんな植物です

アマドコロ属は北半球の温帯に約30種が分布する多年草で日本にはそのうちの11~12種が自生します。冬の間は地上部が枯れ、地中の根の状態で越します。春になると茎を出して葉の付け根から1、2個の筒状の白花を下向きに咲かせます。 花の先端は緑色がかっていて少しだけ開きます。葉は笹をほうふつとさせる形で茎をはさんで左右互い違いに行儀良く2列に並んでつきます。茎は弓状にしなり、個体差があるのか生育環境によって異なるのか草丈に大きな差が見られることがあります。

園芸では花壇の他、鉢植えにもされます。やや日当たりの悪い場所でもよく育ちます。葉に美しい斑のはいる園芸品種もあり、斑の色や入り方によって多くの品種があります。

名前の由来

アマドコロは漢字で「甘野老」と書き、地中の根茎の姿形がヤマノイモ科のオニドコロ(鬼野老)に似ており甘みがあるところ(オニドコロはアクが強くそのままでは苦い)から名付けられました。春に伸びた芽を摘んで山菜として、秋に茎葉が枯れたのち根を掘り上げ乾燥させて煎じ薬として利用されたそうです。

アマドコロ属は学名ではポリゴナツム属と言います。ポリゴナツムはギリシア語のポリス(多い)とゴヌ(節)からなり、地下茎に節が多い様子にちなみます。ちなみに英語ではこの属のことを「King Solomon's seal(ソロモン王の封印)」と言います。ドイツ語やフランス語でも同じ意味の言葉が使われています。同じ仲間に姿がそっくりなナルコユリ〔P. falcatum〕、 ヒメイズイ〔P. humile〕など11種程度が知られています。

アマドコロとナルコユリ

アマドコロとナルコユリは姿がそっくりでぱっと見で判断が付きにくい植物です。アマドコロは茎にゆるい角(かど)が付いているので、茎をつまんでくりくりすると指の腹に引っかかるような触感があり、茎を切ると断面がいびつな多角形のようになっています。ナルコユリは茎の断面が円形で茎をさわっても引っかかりがありません。他にも花の付け根の形状の違いなどもあるようです。まるで間違い探しのような小さな違いですが、可能であれば茎をさわって確かめるのが一番わかりやすいと思います。その茎の違いから「まるこゆりにかくどころ」(ナルコユリ→茎がまるい:アマドコロ→茎がかくばっている)と語呂合わせで憶えたりします。


育て方

栽培カレンダー

栽培カレンダー

主な作業の適期

植え替え・株分け 10月下~11月
肥料 6月 / 9月下~10月上

日当たり・置き場所

直射日光の当たらない明るい日陰が適しています。地植えは木陰になる場所を選ぶと良いでしょう。冬は地上部が枯れて休眠するので、鉢植えは日の当たらない場所でもかまいません。

水やり・肥料

土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。地植えは湿り気の多い場所より水はけのよい乾燥気味の場所のほうが適しています

花の咲き終わった後(初夏)と休眠に入る前(秋)の年2回油かすなどを施します。

かかりやすい病害虫

とくにありません。

植え付けと用土

鉢植えだときゅうくつになってくるので2~3年に1回、葉が枯れ始めて休眠に入る晩秋に一回り大きな鉢に植え替えるか株分けを兼ねた植え替えを行います。地植えは放任しておいた方が毎年株が増えて群植状態になり美しいですが、大きく広がり過ぎた場合は株分けを兼ねて植え替えます。

水はけのよい土が適しています。鉢植えには赤玉土と軽石砂を等量混ぜ、そこに2割ほど腐葉土を混ぜます(要するに、混ぜた用土の量を10とするなら赤玉土4:軽石砂4:腐葉土2の割合)。地植えは腐葉土や堆肥などの腐植質を混ぜ込んでおきます。

ふやし方

植え替えと同時に株分けを行います。根茎は分岐して芽をつくっていくので分岐点からぽきりと折って株分けします。また、芽の付いていない根茎でも土の植えに寝かせて隠れる程度に土をかけておくとやがて芽が出てきます。また、タネができるのでそれをまいてふやすこともできます。

手入れ

日本に自生する野草で気候的に無理なく育ち、やや乾燥気味の明るい日陰に植えていれば特に手間もかからず毎年ふえていきます。

関連する植物