ヤサシイエンゲイ

レモンの育て方

レモンミカン科 学名:Citrus limon用途 鉢植え 露地植え
難易度 バー バー バー バー バー(そだてやすい)

耐寒性 バー バー バー バー バー(ややよわい)

香りや酸味を楽しむ香酸カンキツ類の代表格です。寒さに弱く植栽できる地域は限られますが、家庭果樹として鉢植えで楽しむこともできます。

もくじ

ポイント
1.カイヨウ病に注意  2.温暖な気候を好み、寒さは苦手  3.果実はやや色づいた頃が採りごろ

栽培カレンダー
品種の選び方
樹形を仕立てる
鉢植えを仕立てる / 庭植えを仕立てる
季節ごとの手入れ
樹形ができた後は / 余分な実を摘む「摘果」
日当たり・置き場所
水やり・肥料
用土
植え付け・植え替え
ふやし方
収穫・利用
かかりやすい病害虫

栽培カレンダー 
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
開花期
        バー バー            
果実収穫
バー バー                 バー バー
植え付け
      バー バー バー            
剪定
  バー バー                  
肥料(地植え)
バー             バー      
肥料(鉢植え)
バー       バー バー     バー     バー

品種の選び方 ポイント もくじ↑
寒さに強く、枝の伸びる勢いが強く、果実のそろいがよい「リスボン」「ビラフランカ」、やや生長は劣るものの枝のトゲが少なく、果実の質の良い(タネが少なくて果汁が多く、香りも高い)「ユーレカ」などが家庭果樹としては適しています。

樹形を仕立てる もくじ↑
まず、数年かけて苗をバランスの良い樹形に仕立てなければなりません。枝を切る作業全般の適期は春に暖かくなって芽吹く前、3月頃が適期です。

【鉢植えを仕立てる】

鉢植えの場合、幹を中心に3本の枝をメインとして仕立てる文様木風の仕立て方が適しています。
1.植え付け直後、鉢の高さと同じ高さで枝を切り詰めます。
2.翌年の春、昨年の夏に伸びた枝の先端を切り詰め、余計な枝は付け根から間引きます。
3.夏に伸びてきた枝はワイヤーを巻き付けて上向きにして全体が紡錘形になるように仕立てます。
鉢植えを仕立てる

【庭植えを仕立てる】

庭木の場合は幹を中心に2本の枝をメインに半円形にしててるのがよいでしょう。
1.植え付けた苗木は先端から1/3当たりで切り詰めます。
2.翌年の春、昨年の夏に伸びた枝の先端を切り詰めてヒモや支柱を用いて水平方向に開き固定する。
3.混みあった枝や不要な枝を付け根から間引き、半円形に仕立てます。
庭植えの仕立て方

季節ごとの手入れ もくじ↑
樹形ができたあとは

剪定苗木から2-3年かけて鉢植え、庭植えとも樹形ができました。

レモンは芽を出して枝をぐんぐん伸ばす力(樹勢)が強く、枝ばかり伸びて花や実をなかなか付けないことがあります。特に若木にその傾向が強いです。余計な枝を付け根から切り取る「間引き剪定」をして枝数を抑え、樹勢を落ち着かせることで花付きをよくします。間引き剪定をすることで風通しがよくなり害虫の発生を防ぎ、樹の中心部までしっかりと日を当てて花付きをよくする効果もあります。

苗木から育てると最初の3-4年は花を付けないことも多いです。上記のような理由やまだ花を付けるだけの大きさに達していないことが理由です

今までうんともすんとも言わなかったのに、条件がそろうと(樹勢が落ち着いた、花が咲く大きさになった)いきなり花を咲かせ始めるので、多少気長に育てることが大事です。

余分な実を摘む「摘果」

春~秋に花を咲かせますが、春に咲いた花から実を成らせて→冬に収穫するのが一般的です。たくさん実を付けても株が疲れて充分生長しませんので夏や秋に付いた実は小さい内に摘んでしまいます(この作業を摘果といいます)。特に1カ所にたくさんの実が付いている場合は1-2コ残してあとは摘果します。葉っぱ30-40枚で果実1コ残すのが木を弱らせないのに適当な数です。
上記のように仕立てた場合、7~8号鉢(直径21cm~24cm)で3~5コ/株、庭植えの場合20~30コ/株が目安です。

日当たり・置き場所 もくじ↑
温暖で日当たりと水はけのよい環境を好みます。強い風の当たる場所はカイヨウ病の原因ともなるので避けます。

寒さに弱く、-3℃以下になると枯れてしまうので、寒い地域では鉢植えにして、冬はなるべく暖かくて霜の当たらない場所に移します。

水やり・肥料 もくじ↑
鉢植えの場合、土の表面が乾きかけたらたっぷりと水を与えます。特に果実が大きくなる6月-8月にかけては多くの水を必要としますので、乾かさないようにたっぷりと水を与えます。水はけの悪い土だと過湿になって根腐れを起こしてしまうことがありますので、水はけの良い土を用いることことも大切です。レモンは細かい根をびっしり出す性質があり、乾燥や過湿に弱いのが特長です。

良い実を付けるためには肥料は欠かせません。

地植えの場合、2月と9月に有機配合肥料を株周りに施します。

鉢植えの場合、12月-1月と開花期の5-6月に固形の油かすを与え、生長の様子を見て9月にも同様のものを与えます。特に大切なのは開花期に与えるもので、この時期の肥料がその後の実付きにも大きく影響するので、肥料切れさせないように気をつけます。

用土 もくじ↑
鉢植えにする場合、赤玉土6:腐葉土3:川砂1の割合で混ぜた土が適しています。地植えの場合はできるだけ水はけのよい肥沃な場所に植え付けます。

植え付け・植え替え もくじ↑
植え付け、植え替えの適期は4月-6月が適期です。秋の9月-10月も可能ですが、充分根が張る前に寒さが来て株が傷んでしまうこともありますので霜の心配のない暖かい地域以外では避けます。

鉢植えにしていると、2-3年で鉢の中一杯に根が張って根詰まりを起こしていまいますので、一回り大きな鉢に植え替えます。

ふやし方  もくじ↑
接ぎ木でふやすことができます。 

収穫・利用  もくじ↑
花後6ヶ月ほどでほどよく熟して採りごろになります。春に咲いた花なら10月-11月頃がそのタイミングです。ほんのり色づき始めたら収穫して室内において追熟させるとベストな状態で楽しめます。木の上で完全に黄色くなるまでおいておくと香りが弱くなる上に、更に収穫のタイミングを逸すると果汁の少ないすかすかなものになってしまいます。

香りを主に楽しむなら9月頃に収穫する「青切りレモン」もよいでしょう。フレッシュな香りを料理などに利用して楽しんでください。

かかりやすい病害虫 もくじ↑
アオムシ アブラムシ カイガラムシ ハダニ カイヨウ病

アオムシ、中でもアゲハチョウの幼虫がよく付きます。非常に食欲旺盛で油断していると葉を食い尽くされて丸裸にされます。アオムシは見つけ次第、捕殺します。

アブラムシは春先から発生する害虫で主に新芽の軟らかい部分に付き吸汁します。見つけ次第薬剤を散布して駆除します。

カイガラムシは風通しが悪いと付きやすい害虫で、主に枝について吸汁します。薬剤が効きにくいので発生が少ない段階でこすり落として駆除します。

ハダニは葉の裏につく非常に小さな害虫で吸汁されると葉の色が抜けたように白い斑点ができてかすり状に広がっていきます。見つけ次第、殺ダニ剤を散布して駆除します。

カイヨウ病は風で葉っぱや果実がこすれ合い、傷ができるとそこから細菌が入ってきて感染する病気でレモンの大敵です。葉や果実に水ぶくれのような斑点ができて、それがかさぶたのようになります。葉っぱや果実が落ちることもあります。防風と殺菌剤の散布がおもな予防対策です。

関連するページ
レモンとは
ミカン科
花木・庭木