フェイジョアの育て方
フトモモ科 学名:Feijoa sellowiana用途 鉢植え 露地植え 冬も葉が落ちない常緑性の樹木で果実を食用とする果樹です。亜熱帯性の果樹に分類されますが、寒さにも比較的強く、日本でミカンの育てられる場所であれば、気候的に露地栽培は問題ありません |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
開花期 |
収穫期 |
植え付け |
剪定 |
肥料 |
花・実のつきかた・品種の選び方ポイント
翌年開花する花芽が作られる時期は8月~9月で、その年の春に伸びた枝につきます。本年の収穫を行う前に、翌年の花芽がすでに作られていると言うことです。花芽のできる位置は枝の先端~2、3節目までです。この花芽が春になると直接つぼみになるのではなく、まず新しく枝(新梢)を伸ばします。そして新梢の付け根1~3節につぼみをつけ花を咲かせます。このような枝のことを難しい言葉で「混合花芽」といい、混合花芽の着く枝を「結果母枝(けっかぼし)」といいます。
品種の選び方
フェイジョアは1本だけでは実が成りにくい性質があります。また、複数の木を用意しても同じ品種間では実が成りにくい傾向もあります(自家結実性が弱い、と言います)。中には自家結実性を多少もつ品種もありますが、美味しい果実をたくさん採りたいのであれば、異なる品種の木を1本ずつ用意します。自家結実性を持つ品種についてはフェイジョアとはを参考にしてください。
剪定・整枝(枝を切る作業)ポイント
枝を切る作業は新芽が伸びる前、3月中旬~4月中旬が適期です。
苗が小さい内-幼苗を植え付けて1~2年くらい-は、枝数を増やして樹形を整えることを中心に考えます。果実を考えるのは枝葉が充分茂って樹形が整ってからです。幹は50cm~60cmの高さで切り戻し、脇から出て来た枝を1/3に切り詰めて脇から枝を出させるようにして、枝数を増やして樹形を作っていきます。まずは、幹を主軸として、3本の枝が左右に広がるよう骨組みを作っていきます。枝がたくさん出て来たら混みあった枝や地際から出る細かい枝、細くて弱い枝は付け根から切り取ります。地際から出る枝は裂けやすいので、これも切り落とします。
樹形のすでに完成しているものは、混みあった枝や樹の内側に向かって伸びる枝など、邪魔な枝を付け根から切り落とす「間引き剪定」が基本となります。枝の先端近くに花芽ができるので全体を刈り込んだり切り戻すようなことは避けます。
季節・日常の手入れ ポイント
摘蕾(てきらい)
植え付けて4~5年経つと木も充分生長して、勢いよく伸びていた枝の勢いも落ち着き、花をたくさんつけるようになります。枝の先端に付く花は実になっても充分生長せず、熟す時期も遅いので春に新しい枝が伸びてきてつぼみが確認できる段階になったら、枝の付け根にもっとも近い位置にある花を2つ残し、先端のつぼみは摘み取ります。この作業を摘蕾(てきらい)と言い安定した質、大きさの果実をならせるために大切な作業です。
人工授粉
実を確実にならせるためには人工授粉を行います。
自家結実性があまりない(上の項で説明)ので、花粉用と実を成らせるよう異なる2品種の木があればさらによいです。開花期は主に5月下旬~6月いっぱいです。花粉がたっぷり出ている花を選んで摘み取ります。実を成らせたい(受粉する)花はまだ花粉が出ていない咲いて間もない若い花を選びます。咲いて間もない花は花びらが平たく紅色に見えます、時間の経過した花は花びらがふくらんで内側に巻き込み、白く見えるので区別は付きやすいと思います。受粉する花の雌しべ(花の中心に1本だけ長く突き出ている)に摘み取った花を持って花粉をちょんちょんとつけて受粉完了です。1つの花で10コ程度の受粉ができます。
収穫・利用
表面の色合いや大きさから『採りごろ』を判別しにくい果物です。収穫期、自然に落ちた果実はほぼ完熟しているので、頃合いに地面にシートなどを敷いて準備をし、落ちたものを収穫していくのが確実です。収穫した果実が堅い場合は室温の場所に1週間から2週間置いておくと強い香りを放ち、柔らかくなり食べ頃になります。
貯蔵する場合は冷蔵庫の野菜室で、品種や収穫したタイミングにもよりますが1ヶ月近くは持ちます。
ペクチンを多く含み、熱を通すとゲル状にかたまりやすいのでジャムにも適しています。 また、肉厚の花は糖を多く含んでおり食べると甘みがあります。
日当たり・置き場所
日当たりの良い環境を好みます。亜熱帯の果樹ですが比較的寒さに強く-10℃程度まで耐えると言われています。常緑樹ですが、寒さが強過ぎると葉を落とします。ミカンが露地で育てられる場所では問題なく地植え可能で、関東より南の地域が植栽適地です。また、鉢植えで育てることもできます。
強い風には耐えニュージーランドでは防風林にも使われるほどですが、果実がこすれて傷が付くのであまり強い風の吹く場所は良くないです。また、幼苗の耐寒性は弱いので植え付け後2~3年は霜や寒風を避けます。
水やり・肥料
地植えの場合、根付いてしまえば自然の雨だけで育ちます。過湿を嫌うのですが根が地面の比較的浅い位置(=乾きやすい位置)に張ります。真夏に地面がひどく乾くような場所なら腐葉土やワラなどを敷いて強い乾燥から守ってあげましょう。
鉢植えの場合、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにしましょう。地植えは真夏の強い乾燥には気をつけます。水切れを起こすと最悪の場合、果実の生長がストップしたり、未熟なまま落ちてしまうこともあります。
肥料は春に芽を出す前と収穫後に化成肥料を適宜施します。あまりたくさんは必要ないですが、花付きや実付きに影響しますので最低限は与えます。
用土
特に土は選びませんが、過湿を嫌がるのでじめじめした土壌は適しません。
植え付け・植え替え
植え付けの適期は3月~4月です。霜の心配のない暖かい地方なら10月~11月も可能です。
ふやし方
さし木、とり木、タネまきでふやすことができます。
さし木は春に伸びた若い枝を6月頃、5-10cmの長さに切り取ります。大きな葉は水分の蒸発を防ぐために半分に切ります。さし穂は川砂や鹿沼土の小粒を用いて挿します。
とり木は4月が適期で、前年伸びた枝の表皮を一定幅にを剥ぎ取りそこに湿らせた水ゴケをまいて上からビニールなどを巻きます。根が出て来たら本体から切り離して鉢に植え付けます。さし木、とり木とも1年目は根が非常に良く伸びますが枝葉の生長が遅いので、傍目からはあまり育っていないように見えます。
タネまきは果実からタネを採りだしてよく水洗いして周りの果肉を落とし、陰干ししてから土にまきます。冬の間は完全に乾かさないように鉢ごとビニール袋に入れて貯蔵しておくと良いでしょう。春にビニール袋から鉢を取り出して、発芽するまで乾かさないように水やりをします。うまく育てるとタネまき後5~6年で花が見られます。
かかりやすい病害虫
コウモリガの幼虫
コウモリガは幹の中に侵入し内部を食い荒らす害虫です。幼苗が被害にあうと生長に支障を来す場合があります。株元に雑草などが繁茂しているような環境下で出やすいので、常に株元はきれいにしておきましょう。それ以外にカイガラムシの発生も見られますが、致命的な被害を起こす病害虫はあまり見られません。
まとめ
同一品種間では果実が出来にくい
樹形ができたら、その後は間引き剪定
果実は自然落果したものが採りごろ
関連するページ
フェイジョアとはフトモモ科
花木・庭木・果樹