ヤサシイエンゲイ

フジの育て方

フジマメ科 学名:Wisteria用途 鉢植え 露地植え 盆栽
難易度 バー バー バー バー バー(ふつう)

耐寒性 バー バー バー バー バー(つよい)

つる性の落葉高木で、日本人には万葉の時代からなじみのある植物です。4~5月頃に蝶のような形をした紫色の小花を房状にぶら下げます。たくさんの品種が存在しますが、主にノダフジ系とヤマフジ系の2つがあります

栽培カレンダー
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
開花期
      バー バー              
花芽分化
          バー バー        
植え付け
バー バー バー               バー バー
剪定
バー バー バー     バー バー       バー バー
肥料
バー       バー バー          

季節・日常の手入れ ポイント

花後に豆鞘(実)ができます。実を付けたままにしておくと栄養がそちらにとられて木の生長が弱くなるので、枯れた花房や豆鞘はこまめに取るようにしましょう。
剪定
剪定は夏と冬の2回行います。

夏の剪定  

夏の剪定は樹形の骨格を作ると同時に花芽をたくさん付けさせる目的で行う軽い剪定です
春から夏に伸びた枝の中で充実した短い枝に翌年の花芽を付けます。放任しておくとつるは長くぐんぐん伸びますが肝心の花芽が少なくなります。というのは、茎葉を伸ばす「栄養生長」が旺盛になると花や実を育てる「生殖生長」が弱まるためです。

翌春咲く花芽が形成されるのは7月下旬から8月にかけてですので、伸びる勢いの強い枝があれば7月上旬頃につるの先端を切るか手で摘み取り、つるがそれ以上長く伸びないようにし「栄養生長」を抑え「生殖生長」を促してあげます。また、それとは別に日光が十分株の内側まで当たるようにするため混み合った箇所があれば枝を切って整理します。

冬の剪定

冬の剪定は樹形をバランスよく整えるのが目的でこちらがメインの剪定です。開花時期に樹形が乱れていると美しさも半減します

冬の剪定は落葉期に行うのが基本です。この時期には花芽と葉芽が肉眼で区別できます。花芽の方が葉芽に比べてふっくらと丸みのある形をしています。長く伸びすぎた枝や花芽の付いていない枝を切り、樹形を整えます。できるだけ花芽を多く残して枝を切るようにしましょう。ノダフジ系は花芽とは芽の区別がやや付きにくいので不安ならあまり大胆に切らない方がよいかもしれません。

株元や幹の途中から「ヤゴ」と呼ばれる勢いよく伸びる枝が発生しますので、見つけ次第付け根から切り落とします。

冬の剪定は早くしない

秋の彼岸前くらいに剪定を行うと、冬をそのままで越す花芽が活動を初めて秋に狂い咲きすることがあります。夏の終わりには花芽が肉眼で確認できるほどの大きさになっていますが、剪定は落葉を待ってから行った方が無難です。

日当たり・置き場所
日当たり~半日陰の場所で育ちます。寒さで強く北海道南部より南であれば植栽可能です。

水やり・肥料
地植えは適地に植え付けていれば特に水を与える必要はありません。鉢植えのものは土の表面が乾いたらたっぷりと与えましょう。

肥料は2月頃に骨粉や油かすなどの有機質肥料を株元にばらまきます。また、花後に化成肥料を少量施します。肥料のチッソ分が多いと花付きが悪くなるので気をつけます。

用土
軽い土より粘質でやや重く湿潤な土を好みます。藤棚が池のそばなどにつくられることが多いのは、フジが乾燥を嫌う性質のためです。

植え替え・植え付け
植え付けは冬の落葉期であれば随時可能です。植える場所にはあらかじめ堆肥や腐葉土を混ぜ込んでおきます。

また、地植えにしているものを掘り上げて鉢植えにしたり他の場所に移す場合は、できるだけ根を切らずに先端まで丁寧に掘り上げ、長い根がたくさん付いている状態にしましょう。フジは太い根を切られるのを非常にいやがります。この長い根をできるだけ残して掘り上げる方法を「追い堀り」といいます。

鉢植えは大きな鉢に植え替えると根の成長が活発になり茎葉はよく伸びますが花芽が付きにくくなるので、あまりむやみに植え替えをしないほうがよいです。 また苗木を鉢植えにする場合も現在の根がすっぽりと収まる程度の大きさの鉢にしておき、あまり大きな鉢に植え替えないことが花付きをよくするポイントです。

鉢植えを地におろした場合
鉢植えのものは、限られた中で育てられていると言うこともあり栄養成長が抑えられて比較的花が咲きやすいですが、これを地植えにすると木が若返って栄養生長が旺盛になり、花が咲きにくくなることがあります。

ふやし方
さし木、接ぎ木でふやすことができます。さし木の適期は3月~4月、花後~7月です。接ぎ木は3月頃に行います。

かかりやすい病害虫
根頭がん腫病 こぶ病 ハマキムシ コガネムシ

根や接ぎ木部分に突起状のこぶができる根頭がん腫病があります。この病気にかかってしまうと徐々に生育が衰えてきます。治療方法はないので病株は早めに抜き取り処分します。また、それとは別に梅雨時期~夏にかけて枝や幹にこぶができるこぶ病が発生することがあります。こぶの部分は削り取って切り口には癒合剤を塗り雨や細菌の侵入を防ぎます。

また、ハマキムシやコガネムシなどの害虫が発生することがあるので、見つけ次第駆除しましょう。

まとめ 
剪定は夏は軽め、冬をメインに行います
やや粘質で重い土が適しています
花がらや、豆鞘(実)はこまめに取り除きます

関連するページ
フジとは
マメ科
花木・庭木
つるが伸びる植物